俳句の作り方  紫陽花あじさいの俳句

     兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花  正木ゆう子まさきゆうこ

    あになくて ゆうかんがくる こあじさい

 

 

     紫陽花が夏の季語。

    「梅雨時を代表するユキノシタ科の落葉低木の花。

    額紫陽花を母種とし、日本原産と言われる。

    『四葩よひら』の名は花びらのように見える4枚のがくの中心に細かい粒のような花をつけることから。

    花色は酸性土では青、アルカリ性土では赤紫となる。

    色が次第に変化することから『七変化』ともいう。」

    (俳句歳時記 夏 角川書店編)

     兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花

 

 

     句意を申し上げます。

    兄が亡くなりました。

    毎日届く夕刊が今日も来ています。

    ああ、濃紺の紫陽花が美しい。

     兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花

 

 

     鑑賞してみましょう。

    私(作者)の兄が亡くなって3日たちました。

    兄が読んでいた夕刊が律儀に毎日来ています。

    読む人がいなくなったというのに毎夕届いているのです。

    辛い。

     兄が亡くなったという現実をなんとか受け入れています。

    でも寂しい。

    夕刊をとめなければ・・・。

    誰か配達所に電話してくれないかしら。

    兄が亡くなったのに夕刊が来ているのですもの。

     庭の隅に濃紺の紫陽花が咲いています。

    それは淋しさを紛らわせてくれるでしょうか?

     兄亡くて夕刊が来る濃紫陽花

    

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です